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2011/05/15

御前崎も大変だが、敦賀も原発止まれば苦しい

 4月に執行された統一地方選。原発が立地する敦賀市長に「原発との共生」をうたう河瀬一治氏が5選を果たした。この市長選挙には4氏が出馬したが、福島原発事故の影響が深刻な中でも、「脱原発」を唱えた立候補者はなかった。背景には、原発政策に絡めとられた自治体の姿が見える。
 「原発運転は地元の意思が第一」政府も電力会社も、ことあるごとに言うが、地元の意思では原発は止まらない。

 原子燃料政策研究会という社団法人がある(経産省エネ庁所管)。設立の趣旨は「地球環境に優しく、エネルギーの安定供給に欠くことのできない原子力の平和利用、そのための原子燃料リサイクルの確立のために設立された … 核兵器を地球から廃絶するためにも、プルトニウムの平和利用を積極的に進めるべきであると考え、活動を続けて」いるという。後段の理屈の奇妙さはさておくとして、まあ核燃サイクル確立を期成する団体といっていい。理事には、六ヶ所村を有する青森県選出の国会議員がズラリ。

 この団体の機関紙はその名も「プルトニウム」。09年秋の号に、河瀬・敦賀市長のインタビューが掲載されている。「原子力発電所の建設は地域への大きな経済効果を生んだ」。反対運動が強かったころの経験を語り「ようやく立地地域も報われた」と述懐する。そして「もんじゅ」運転の早期再開を訴える。

 原発はできてしまえば金の卵を生み続ける宝になるのか、といえば決してそうではない。敦賀市は10年度、財政力指数が1を切り、地方交付金「交付団体」に転落、23年間守ってきた看板を失った。景気悪化もあるが、大きな要因は原発からの収入減だ。原発立地に絡む自治体の収入としては、「電源3法による交付金」と、原発施設から上がる「固定資産税」がある。御前崎市ではこれら収入合わせてが市の歳入の4割を占めていた。敦賀市はそれに比べれば少ないものの、やはり一般会計の2割程度を占める。

       一般会計   原発施設固定資産税 電源3法交付金
11年度   269.3億円    40.3億円         10.96億円
(敦賀市予算関係資料から構成)

 固定資産税は減価償却によってジリ貧になるので、市としては新たな設備投資をしてほしい。もっとも有効であるのは、新たな炉の設置と運転だ。敦賀原発は1号機稼働から41年。2号機も24年が経過し、現在3、4号機を計画中。インタビューで河瀬市長は「発電所の固定資産税は地域振興ではなく、町として当然いただける税金ですから、これはいただいていますが、その固定資産税は一般的なプラントとあわせて15年でほぼ償却され、あとはほとんどなくなります」と答えている。「立地地域に対して、努力するものが報われる政治を進めてほしい」とも。

 大事なことだが、データとして算出しづらいものがある。原発でどれだけの市民が雇用なりの恩恵を受けているか、である。河瀬市長によれば、下請けなども念頭に「敦賀市の7万人しかいない人口の中で、約1万人が関連」という。「原発と共生」は好むと好まざるとにかかわらず、必然という趣旨だろう。かくして地元紙の世論調査では、あの事故の後でも「原発運転容認」が7割を超すことになる。「反原発」の候補など出馬できる余地はないのだ。
 
 市長は、原発が地震被災する可能性について、楽観的なようだ。「敦賀は昔から比較的天災が少ないところです」「文献をみても地震もあまりない地域です。ですから原子力発電所の立地に選ばれたのです」「国でも耐震の問題をしっかり取り組んでいただいていますので、そういう点では少し安心もしています」。しかし、福島では、想定外が現実になった。敦賀市に接する南越前町では、2007年、当時の町長・増澤善和氏が広報誌に「南越前町の活断層」と題した連載を掲載、文献上の地震を指摘しながら、安全確保の重要性を説いている。固定資産税が入る側と入らない側の意識の違いか。

 「そういう点では少し安心できる」事態なのか。河瀬市長が、原発新規建設凍結を唱える橋下・大阪府知事と険悪なのは周知のとおり。関西電力は原発に全電力の半分を依存している。まさか止められるはずがない、と高をくくっているのでは。


 
 核燃サイクル旗振りの「原子燃料政策研究会」には、民主党の大畠章弘・現国交相(茨城5区・日立労組出身)も、閣僚就任まで理事として名を連ねていた。敦賀3、4号機の稼働も含め、現政権が原子力政策をどういうスタンスで見直すか、注目したい。原発運転、「地元の意思」を金科玉条にするなら何も変わらない。「建設・運転」と「リスクこみのコスト」をてんびんにかけたうえで、検討するのが筋ではないのか。もちろん、現在立地している自治体への配慮は必要だが。

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